2021.03.26 | 副業の始め方
【手続きは2ステップのみ】副業で個人事業主になる方法!メリット・デメリットも解説
副業をすることが一般的になり、多くの人が本業とは別の収入を得ている人も増えてきました。
ただ、副業するにあたって、「個人事業主になるべきかどうかわからない」という悩みを感じますよね。
結論から言うと、副業収入が20万円以下であれば個人事業主になっても大きなメリットはありません。
副収入が20万円以上になると、個人事業主になった方が節税対策になります。
そこで今回、この記事では次の3つのポイントについてまとめました。
- 副業を始めるにあたり個人事業主になるべきなのか
- どのように登録するのか
- 個人事業主になるメリット・デメリット
1.結論!個人事業主にならなくても副業はできる
結論からいうと、個人事業主にはならなくても副業はできます。
副収入が多くないうちは、個人事業主になるメリットが小さいためです。
ただし、副収入が年間20万円を超えた場合には、確定申告をして税金を収める必要があるという点は覚えておきましょう。
副収入の金額は、明細を保管しておくなど、常に把握できるようにしておくのがおすすめです。
個人事業主になるタイミングは副収入が20万になってから
年間の収入が20万円を超えた場合は、個人事業主になった方が手元に利益が残りやすくなります。
個人事業主になると「青色申告」という節税効果の高い確定申告をすることができるためです。
個人事業主になる方法は、近所の税務署に開業届を提出するだけ。
副業が軌道に乗って、副収入が大きくなったらぜひ個人事業主に登録しましょう。
正社員やサラリーマンは通常の副業で十分
サラリーマンの人が副業をして、月1万円ほどの副収入を得るだけなら、個人事業主になる必要はありません。
ただし、年間20万円を超えた場合には確定申告をする必要があるので注意してください。
確定申告は、副収入で得た金額に対して、支払う税金を報告するものです。
確定申告を怠ると、追加で税金を徴収されたりとペナルティがあるので注意しましょう。
2.個人事業主として、開業届を提出する5つのメリット
個人事業主になるのは、副収入が20万円を超えてからでも遅くありません。
個人事業主になると、次の5つのようなメリットがあります。
- 青色申告ができ、節税になる
- 専従者(家族)に支払う給与を必要経費にできる
- 損失・赤字の繰越ができる
- 貸倒引当金がある
- 経費にできるものが多くなり、税金対策に
それぞれについて、順番に詳しく解説していきます。
メリット1.青色申告ができ、節税になる
個人事業主になると、節税対策に効果的な「青色申告書」を使用できます。
青色申告書にはメリットが多くありますが、最も大きな魅力は最大65万円の控除を受けられることだといえるでしょう。
控除とは、所得から差し引く金額のことを指します。
「所得税=収益‐費用‐青色申告特別控除額(10万または65万円)」というように、所得税を減額することができるのです。
メリット2.家族に支払う給与を必要経費にできる
個人事業主になる2つ目のメリットは、専従者(家族)に支払う給与を必要経費として取り扱えるということです。
青色事業専従者給与を利用する方法は、専従者の氏名と給与を記載するだけですので、難しくありません。
ただ、次の4つの条件を満たす必要があることだけは注意しましょう。
- 青色申告者と生計を一にする親族であること
- その年の12月31日に15歳であること
- 申告者の事業に6ヶ月以上専従していること
- 明らかに高すぎる給与にしないこと
この制度も、節税に大きなメリットになるので、ぜひ利用したいところです。
メリット3.損失・赤字の繰越
個人事業主となり「青色申告」をしていれば、損失や赤字を繰越すことができます。
たとえば、今年100万の赤字が出て、来年200万の黒字になったとします。
前年の100万の赤字を200万の黒字から差し引くことで、その年に支払う税金を節約することができるのです。
この帳消しは青色申告出ないとできないので、個人事業主になるメリットだといえます。
メリット4.貸倒引当金がある
貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは、事前に損失するかもしれない金額を予想して、計上した引当金のこと。
もし、商品やサービスの代金が支払われない・回収できない場合、その分も経費として計上してよいということです。
貸倒引当金の対象となる債権は以下の通りです。
- 売掛金
- 貸付金
- 未収金
- 受取手形
場合によっては、節税になることもあるので、この制度を利用できるのも税務上のメリットになります。
メリット5.経費にできるものが多くなり、税金対策に
個人事業主になることで、「事業主貸」を使う経費として計上できるものが多くなります。
経費で計上できるということは、その分の金額には税金がかからないということ。
たとえば、携帯電話や家賃、自家用車のガソリン代(一部)などは、経費として取り扱ってもらえるのです。
ほかにもさまざまな出費を経費として扱ってもらえるので、節税対策になります。
3.個人事業主になる2つのデメリット
個人事業主になると、税金の面でたくさんのメリットがあります。
ここからお伝えするのは、個人事業主になった場合に考えられるデメリットについてです。
- 確定申告に時間がかかる
- 利益を継続して出す必要がある
大きなデメリットはありませんが、念のため、ここで確認しておきましょう。
デメリット1.確定申告に時間がかかる
会社員は、会社に年末調整の書類を提出するだけで税金に関する手続きは完結します。
副収入を得ている場合、その金額が20万円を超えると確定申告をする必要があります。
個人事業主になると利用できる青色申告は、節税効果こそ高いものの、通常の申告よりも時間がかかるのが難点です。
日頃から収支の帳簿をつけておく必要もあるので、慣れるまでは苦戦する人が多いようです。
デメリット2.利益を継続して出す必要がある
個人事業主とは、独立して仕事に従事し、反復・継続している人のことを指します。
副業で利益を継続して出し続ける必要があるので、スキマ時間に少しだけ稼ぐ、というようなことは難しくなります。
本業をしながら無理なく、副業で一定の収入を得られるようになってから個人事業主になるのがおすすめです。
4.個人事業主になる条件はあるの?
結論からいうと、個人事業主になるための条件は特にありません。
ただし、「短期のアルバイトをして、一時的な収入を得ただけ」という人は開業届けを受理してもらえないケースもあります。
ここから、個人事業主になる条件と登録方法について具体的に解説していきます。
条件は特にないが、ある程度の利益がないとメリットが小さい
個人事業主になるための条件は特に設けられていないので、誰でも個人事業主になれます。
しかし、継続的な利益がなければ個人事業主として認められないので注意が必要です。
また、副業での収入が一定以上(年間20万以上)ないと、節税のメリットがほぼないことも覚えておきましょう。
ある程度の収入が見込め、税金対策をする必要が出てきたら、個人事業主になるのがおすすめです。
個人事業主になるための登録方法を解説
個人事業主になるには、開業手続きを行う必要があります。
開業の手続きに必要な手順は、次の2つ。
- 税務署窓口または国税庁のサイトで書類を入手
- 開業した日から1ヶ月以内に書類を税務署に提出
事業開始1ヶ月以内に、開業届を提出するだけ
個人事業主の登録方法は、事業をスタートして1ヶ月以内に申告しなければなりません。
とはいえ、事業開始日を細かくチェックされることはないので安心してください。
青色申告を利用したい方は、個人事業主の開業届けと一緒に「青色申告承認申請書」を提出しましょう。
5.個人事業主と副業に関するFAQ
ここからは、個人事業主と副業に関するよくある質問に回答していきます。
- 副業と兼業の違いは?
- 個人事業主と自営業の違いは?
- 専従者って何?
以上の3つについて分かりやすく解説するので、気になる項目からチェックしましょう。
副業と兼業の違いは?
副業と兼業の違いは、特に法律上における定義などはありません。
「副業と兼業は、本業以外の仕事で収入を得るための仕事。」とまとめて定義されています。
副業と兼業に大まかな違いはありませんが、一般的には以下のような認識の差があるようです。
副業 | 兼業 |
本業とは全く異なる仕事をして収入を得ること | 職務以外のほかの業務も一緒に行い収入を得ること |
上記に加え、副業は本業が休日のときに行うもので、兼業は本業と同じ時間帯に行うものといった認識もあります。
たとえば、兼業は「月火水はA社で働き、木金はB社で働く」といった働き方も副業ではなく兼業に分類されます。
個人事業主と自営業の違いは?
「個人事業主と自営業の違いがよく分からない」という方も多いですよね。
結論からいうと、個人事業主と自営業に大きな違いはありません。個人事業主は自営業の一部と捉えておくといいでしょう。
自営業は、以下の二択から開業方法を選択できます。
- 個人事業主として開業する
- 法人として開業する
個人事業主は、開業届けと青色申告承認申請書を提出すれば開業できますが、法人の場合は法務省などで必要書類を提出したり、開業費用がかかったりといった点が大きな違いだと言えます。
専従者って何?
青色申告を検討している方は、「青色事業専従者」というワードを見かける機会があるかと思います。
そもそも専従者とは、事業を手伝ってくれる家族のことです。
家族が事業を手伝ってくれる場合は、青色事業専従者とした方が節税できるので手続きをしておきましょう。
- 生計を一にする配偶者または15歳以上の親族
- 給与額が高すぎない
- その年の6ヶ月以上仕事を手伝ってもらっている
上記の3つに該当する場合は、青色事業専従者の対象となります。
家族に割り当てる金額を給与として扱えるので、必要経費とみなされるのです。
まとめ
今回は、副業をするにあたって個人事業主になるべきなのかを徹底解説しました。
本ページを以下に、まとめたのでおさらいしましょう。
- 個人事業主にならなくても副業はできる
- 個人事業主になるためには事業を「反復・継続・独立」している必要がある
- 個人事業主になると青色申告ができて節税対策になる
なお、副収入が20万円を超えない場合は、申告の手間や負担を考えると個人事業主にならない方がいいかと思います。
年間20万円の利益を得ている方は、税金を収めるために年に1度、確定申告することを忘れないようにしてください。