2021.03.26 | 副業の始め方
副業するときに開業届は必要?提出する前に知るべき2つのデメリット

「副業を始めるときに開業届って出すべき?」「そもそもどうやって提出すればいいの?」
そんなお悩みはありませんか。
結論からいうと、副業をするにあたって、開業届の提出は義務付けられているので、届出をした方が不安なく副業に専念できます。
そこでこの記事では、副業をするにあたって開業届の必要性やメリット・デメリット、具体的な提出方法まで解説していきます。
開業届を出した後で後悔しないように、理解した上で税務署に提出してくださいね。
1.そもそも開業届とは
そもそも、開業届とは「個人で事業を開始したことを税務署に届ける書類」のことです。
所得税法第229条にて、開業届を提出することが義務付けられています。
しかし、開業届を出さずに活動をしていたからといって何か罰則を受ける訳ではないので、開業届を提出せず活動している方も多いのが現状です。
2.副業する会社員に、開業届の届出が必要なのはこんなとき
「開業届を出すことで、勤め先に副業がバレてしまいそう…。」
「副収入の税金が会社を通して天引きされそう。」
そんな不安を抱えている方も多いかと思います。
会社員にとってデメリットが大きいように思える開業届ですが、一体どのような理由で開業届を提出しているのでしょうか。
会社員やサラリーマンが、開業届を提出する明確な理由を見ていきましょう。
会社員やサラリーマンが開業届を出すケース
副業でお小遣い程度の収入を得ている場合は、納税の義務がないので、開業届けを出す必要はありません。
しかし、年間の副収入が20万円を超える場合は開業届を提出した方がいいでしょう。
具体的には以下の内容を目的として開業届を出す会社員・サラリーマンが多いです。
- 青色申告特別控除を受けて節税対策をしたい
- 屋号付つきの銀行口座を持ちたい
- 銀行からの融資を検討している
3.開業届を出す3つのメリットと2つのデメリット
開業届を出すべきか迷われている方にとって、メリット・デメリットは気になりますよね。
具体的には以下のような点があげられます。
メリット | デメリット |
|
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メリットとデメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
副業で開業届を提出する3つのメリット
ここでは、副業で開業届を提出するメリットを3つにわけてご紹介します。
- 青色申告による最大65万円の控除を受けられる
- 法人用の銀行口座・クレカが作成できる
- 個人事業主であることの証明になる
上記の3つを見て、「開業届を出した方が自分にとってメリットが大きい」と思われた方は、開業届を提出して個人事業主になりましょう。
(1)青色申告による最大65万円の控除を受けられる
開業届の提出によって得られる最大のメリットは、確定申告で青色申告ができることです。
青色申告は、記帳方法が複雑ですが年間収入から経費に加え、65万円の控除が受けられます。
そのほかにも、青色申告をすることで以下のメリットがあるのでチェックしましょう。
- 青色事業専従者給与を経費にできる
- 赤字がでた場合3年以内であれば繰り越しができる
- 貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)制度を利用できる
青色申告をすることで、経費にできるもの(携帯電話や家賃など)が多くなり節税対策に効果的です。
(2)法人用の銀行口座・クレジットカードが作成できる
開業届けを提出すると、法人用の銀行口座やクレジットカードの作成ができます。
口座名には、屋号を付けられるので取引先への信頼度がアップするメリットも。
なお、プライベートと仕事の口座を分けられるので、帳簿付けや確定申告の作成がしやすくなります。
(3)個人事業主であることの証明になる
開業届は個人事業主であることの証明になります。
たとえば、保育園の入園や学童の申込で「就労証明書」が必要ですよね。
その際に、開業届の控えを提出すれば個人事業主だと認定されます。
なお、事業所や融資の申し込みの際にも、開業届の控えがあれば証明することができます。
副業で開業届を提出するデメリット2つ
開業届を提出するメリットがある一方、デメリットも2つあるので押さえておきましょう。
- 失業保険が受けられない可能性がある
- 会社にバレる可能性が高くなる
上記の2つについて分かりやすく解説していきます。
(1)失業保険が受けられない可能性がある
開業届を提出すると、失業保険を受けられなくなります。
そもそも失業保険とは、会社の雇用保険に加入している人を対象として、失業した際に受けられる保険のことです。
開業届を提出すると、万が一、会社で失業したとしても事業があるので「失業者」ではなくなってしまいます。
「開業したけれど収入はゼロ」という状態であっても、失業手当を受給してもらえないので注意しましょう。
(2)会社にバレる可能性が高くなる
副業で開業届を提出すると、個人事業主になります。
個人事業主は、確定申告の義務があるので書類や手続きを通して会社に副業がバレてしまう可能性もあります。
近年では、副業を認める会社は増えてきているものの、「副業禁止」という規制を設けている会社が多いのが現状です。
副業がバレてしまうと、会社に居づらくなったり、減給や罰則を受けたりといったケースも少なくありません。
次の章では、「どうして副業がバレてしまうのか」と「バレる可能性を低くする方法」についてご紹介します。
4.副業は会社にバレる?
先述した通り、副業は勤め先にバレてしまいます。
なぜ、副業が会社にバレるのか原因を以下にまとめました。
- 同僚や知人からバレる(SNSの投稿)
- 住民税が高くなってバレる
- 社会保険が変わってバレる
- 「給与所得者の基礎控除申告書」でバレる
「誰にも副業のことを話していないけど、バレてしまった」という方は、上記のどれかが原因なのかもしれません。
勤め先の会社で給料はあがっていないけど、住民税が高くなった場合には、「ほかに収入源がある=副業をしている」と担当者が気づいてしまうようです。
税金はどうなる?副業していたら確定申告は必要なのか
自分で収入の総額を計算して、納める税金の額を報告する作業が「確定申告」。
副収入が年間20万円を超えた場合には、税金を納める必要があるので確定申告をしましょう。
会社で年末調整を行うよりは手間がかかってしまいますが、確定申告を「普通徴収」にすることで副業がバレずに済む可能性が高くなります。
5.開業届を提出するときにかかる費用は?
開業届を提出するためにかかる費用はありません。開業届を提出するための手数料も一切かからないので、0円で個人事業主になれます。
開業届の用紙は、税務署に直接足を運んでもらうこともできますが、国税庁のサイトから無料でダウンロード可能です。
開業届の提出先は最寄りの税務署
開業届の提出先は、最寄りの税務署です。個人事業主の納税地は、自宅の住所となるので最寄りの税務署で提出をしましょう。
事業所が自宅とは別にある場合は、事業所を納税地として管轄している税務署に提出してくださいね。
開業届を出すタイミングは事業開始から1ヶ月以内
開業届を提出するタイミングは、事業開始から1ヶ月以内と所得税法で定められています。
提出の義務はあるものの罰則がないので、すでに開業して1ヶ月以上経ってしまっていたり、未提出だったりというケースも少なくありません。
なお、開業日を自分で決めることができるので、事業開始から1ヶ月を目安に設定する人も多いです。
開業届に関する「よくあるQ&A」
開業届に関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
- 青色申告と白色申告はどっちが良いの?
- フリーランスや自営業者は開業届を出してなくてもいい?
上記の中で、気になる項目がある方は、チェックしてくださいね。
Q1.青色申告と白色申告はどっちが良いの?
個人事業主は、確定申告をする際に「青色申告」と「白色申告」の2つから選択できます。
青色申告の方がさまざまな控除を受けられるので、絶税効果が高いと知っていても、帳簿や手続きが面倒で踏み切れない方も多いのではないでしょうか?
青色申告と白色申告それぞれのメリットとデメリットをまとめました。自分にとってメリットが大きいと感じる方を選んでくださいね。
メリット | デメリット | |
青色申告 |
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白色申告 |
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Q2.フリーランスや自営業者は開業届を出してなくてもいい?
フリーランスや自営業者は、開業届の提出が法律で義務付けられています。
そのため、最寄りの税務署へ開業届を提出しましょう。
開業届は、開業した日から1ヶ月以内に提出するといった期日が設けられています。
ただし、「すでにフリーランスとして半年以上活動している」という場合に罰則があるわけではないので、気づいたときに提出をしましょう。
まとめ
副業するにあたって開業届は、必ずしも提出しなければならないといった規定はありません。
しかし開業届を出すことで得られるメリットが大きいので、提出して損はないでしょう。
- 青色申告をして控除を受けたい
- 屋号付きの銀行口座が欲しい
- 銀行から融資を受けたい
- 副収入が20万円以上
上記に当てはまる人は、開業届を提出して個人事業主になった方がいいでしょう。