2021.04.05 | 副業の始め方
サラリーマンが副業する場合「個人事業主」になるべき?メリット・デメリットを解説
副業ブームということもあり、「サラリーマンが副業をしていると、個人事業主になるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、サラリーマンが副業していても個人事業主です。しかし、アルバイトのような給与所得でなく、継続的に収入が発生している必要があります。
この記事では、サラリーマンが副業する際の確定申告の方法やポイント、税金について、更にはメリットやデメリットなどもご紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
1.サラリーマンが副業していると個人事業主になるのか
結論から言うと、サラリーマンが副業していても個人事業主になります。
しかし、アルバイトなど給与所得の副業を行った場合は、個人事業主になりません。あくまで会社に雇わられず、個人で得た収益がある人のを個人事業主といいます。
また、その収益も一時的なものであってはいけません。個人事業には、独立・継続・反復という定義があるため、これらの条件を満たしている場合、サラリーマンでも個人事業主ということになります。
そして、個人として開業した者は、税務署に開業届を提出する義務があります。
2.副業している人で確定申告が必要な主な2つのケース
副業している人で確定申告が必要な主な2つのケースをご紹介します。
- ケース1.会社員で副業の年間収入が20万以上の人
- ケース2.給与所得が年間2,000万以上ある人
確定申告を怠ると、脱税などの疑いをかけられてしまうことも。また、副業が赤字の人も確定申告はした方が良いです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ケース1.会社員で副業の年間収入が20万以上の人
会社員で副業の年間収入が20万以上の人は、確定申告が必要です。
仮に一時的な収益であっても、副業の年間収入が20万以上の人は確定申告が必要なので、注意しましょう。ただし、アルバイトのような給与所得は、20万円に含まれません。
業務委託や自分で事業を起こしたなど、給与所得以外で年間収入が20万以上の人は、確定申告を行う必要があります。
ケース2.給与所得が年間2,000万以上ある人
給与所得が年間で2,000万以上ある人も、確定申告が必要です。
給与所得が年間で2,000万以上の場合、社会保険控除などが差し引かれず、所得税や復興所得税の生産がされなくなります。そのため、個人で確定申告をし、所得の申請をしなければいけません。
また、給与所得が年間で2,000万を超えると、配偶者特別控除住宅ローン控除などの制度が受けられなくなります。
給与所得が年間で2,000万を超える場合、確定申告をする必要があることを覚えておきましょう。
副業が赤字の人も確定申告はした方がいい
副業が赤字の人でも、確定申告をした方がいいです。
還付を受ける際や赤字の繰り越しをする際に、確定申告が必要になるからです。
また、税法上は所得金額が38万円以下の人は、確定申告が必要ありません。
さらに住民税などが考慮される可能性もあるので、確定申告をした方が良いでしょう。
3.確定申告するにはどうすればいい?開業届の出し方
確定申告をどのように進めていくのか、また開業届の出し方をご説明します。
まず、開業届の提出方法をご説明します。
開業届の届け出はとても簡単で、個人事業の開業・廃業等届出書を最寄りの税務署に提出すれば完了します。Webからのダウンロードも可能ですし、税務署で記入することもできます。
以下の3点を用意しておくと、記入がスムーズです。
- マイナンバー
- 開業場所の住所
- 開業日がわかる書類
また、確定申告には青色申告と白色申告と二種類あります。
青色申告とは確定申告の一つで、所得税を正しく納税するための申告納税制度のことです。一年間に生じた所得金額を計算するために「複式簿記の帳簿」が必要になります。
「複式簿記の帳簿」とは必要経費などの日々の取引状況を記録したもの。青色申告を使用するには、事前に青色申告承認申請書を、期間内に税務署へ提出しなければいけません。
一方で、白色申告では事前の手続きが不要です。青色申告よりも手続きが簡単でしたが、2014年度より、収入が300万円以上の事業者も帳簿が義務づけられました。そのため、青色申告とかかる手間は同じ。
青色申告に比べて節税のメリットがないため、個人事業主になる際は青色申告を選ぶことをおすすめします。
4.個人事業主になるときに知るべき2つのポイント
個人事業主になるときに知るべきポイントは、以下の2つです。
- 節税を考えるなら「青色申告」にする
- 住民税を「自分で納付」すれば副業はバレない
それぞれ詳しく説明していきます。
(1)節税を考えるなら「青色申告」にする
節税を考えるなら「青色申告」を選びましょう。
「青色申告」を選んだ方が良いメリットは、以下の4つです。
- メリット1.青色申告特別控除の制度が使える
- メリット2.専従者給与が使える
- メリット3.賃倒引当金の制度が使える
- メリット4.損失の繰り越しができる
それぞれご説明していきます。
青色申告のメリット1.青色申告特別控除の制度が使える
青色申告特別控除の制度を利用することで、最高65万円~55万円、又は10万円を特別控除が受けられます。
控除を受けることで所得から上記の金額が差し引かれ、節税対策になります。
しかし、特別控除の要件は税務署より詳しく定められているので、事前に確認することが大切です。
提出期限内に確定申告書を提出しなければ、最大65万円の控除を受けることができないため、期限内に完了させましょう。
青色申告のメリット2.専従者給与が使える
次に、青色申告すると専従者給与を使うことができます。税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、15歳以上の家族に対する給料を経費にすることができるのです。
- 青色専従者になるためには以下の要件が必要です。
- 青色申告者生計を一にする親族であること
- 当該年度の12/31に15歳以上であること
- 青色申告者の事業に6ヵ月を超える期間専従していること
- 高すぎる給与設定にしないこと
これらの条件を満たせる場合、専従者給与を使うことは大きな節税対策になります。
青色申告のメリット3.貸倒引当金の制度が使える
次に、青色申告を利用すると、貸倒引当金の制度が使えます。
貸倒引当金とは、得意先が倒産などで支払い不可能になった場合に、損失額を予測して加算すること。
年末の帳簿価額の合計額5.5パーセント以下の金額を計上すると、その金額を経理として認めてもらうことができます。金融業は3.3パーセントになります。
青色申告のメリット4.損失の繰り越しができる
最後のメリットとして、事業で赤字が出た場合、その金額を翌年以降最長3年間まで繰り越しすることができます。
しかし、申告できるものは限られているので注意が必要です。
〈繰り越し申告対象〉
- 事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の損益通算においても控除が残った場合(純損失金額)
- 雑損控除で控除不足額が生じた場合
〈繰り越し申告対象外〉
- 利子所得
- 給与所得
- 退職所得
- 配当所得
- 一時所得
- 雑所得
白色申告だと一部の赤字にしか適用できないため、青色申告を選びましょう。
(2)住民税を「自分で納付」すれば副業はバレない
住民税を「自分で納付」すれば、副業がバレる可能性は低くなります。
住民税は収入によって変動するため、副業により収益が増えると住民税も増えます。この住民税の変動が、起業に副業がばれてしまうきっかけになり得るのです。
住民税を自分で納付するには、確定申告時に「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」という項目にチェックを入れます。
そうすることで、主給与以外の所得を自治体から直接納付することが可能になりますよ。
5.補足|よくあるQ&A
ここでは、サラリーマンが個人事業主になるメリット・デメリット、そしてよくあるQ&Aをご紹介します。
サラリーマンが個人事業主になるメリット・デメリットやよくある疑問を事前に知っておくことで、副業を成功させられる可能性が上がります。
それぞれ見ていきましょう。
サラリーマンが個人事業主になるメリットは?
サラリーマンが個人事業主になるメリットを3つご紹介します。
- 必要経費を計上して節税できる
- 稼ぎが増える
- 人脈を広げることができる
まず、サラリーマンが個人事業主になると、必要経費を計上して節税できます。
例えば、パソコンや文房具を購入した際、これらを経費扱いすることが可能になります。節税対策が行えることは、サラリーマンが個人事業主になるメリットです。
また、サラリーマンが個人事業主になると稼ぎが増えます。
普段の給与にプラスしてお金が生まれるので、生活に余裕が生まれます。
自己投資資金にするのもいいですし、生活費の足しにすることも、趣味に使うこともできます。
また、副業を通して人脈を広げることができます。
本業では関われなかったような人や業種の人達と出会う機会が多いため、貴重な人脈を築くことができるでしょう。
人脈を広げる方法としては、
- SNS
- 各種セミナーに参加
- 知り合いのイベント、パーティ
- 異業種交流会
などの方法があります。
人脈を作ることで仕事を獲得できることも多いので、これはサラリーマンが個人事業主になるメリットでしょう。
サラリーマンが個人事業主になるデメリットは?
次にサラリーマンが個人事業主になるデメリットを3つご説明します。
- 青色申告書の記入に手間がかかる。
- 個人事業の利益を継続・反復しなければならない
- 自由な時間が制限される
まず、サラリーマンが個人事業主になるデメリットとして青色申告の記入に手間がかかることが挙げられます。
本業では必要のなかった手間が生まれることは、デメリットと言えます。
また、個人事業主になった場合は、個人事業の利益を継続・反復しなければなりません。
一時的な収益ではなく、毎月個人で継続的に利益を生む必要があります。サラリーマンの給料などは毎月もらえますが、個人事業主の収益は自分次第。
継続的に収益を上げるには、スキルや責任感が欠かせません。
また、サラリーマンが個人事業主になると自由な時間が制限されます。
本業の勤務中以外で副業を行うことになるので、勤務後の自由時間や休日に作業を行う必要があります。
普段は休息や趣味に当てていた時間を副業に当て自由な時間が制限されることは、サラリーマンが個人事業主になるデメリットです。
個人事業主になれない人はいる?
個人事業主になれない人はいませんが、向き不向きがあるのも現実です。
サラリーマンとは違い、個人事業主は自分で仕事を取ってくる、もしくは自ら事業を立てる必要があります。
給料も毎月同じ額が振り込まれることはなく、仕事がなければ収入もありません。しかし、逆を言えば仕事があれば収入が生まれますし、稼げる額も青天井。
将来的に安定しない仕事、安定した収入がないことに恐怖を感じる人は、個人事業主に向いていないかもしれません。
また、受け身の姿勢でいる人にも個人事業主は向いていません。
自分のスキルを使って稼ぐため、常に学び続け自ら交渉する必要があります。
受身の姿勢で仕事を行いたい場合、企業に雇われる方が向いているでしょう。
会社員をしながら個人事業主になると税金と社会保険はどうなる?
次に、会社員をしながら個人事業主になると税金や社会保険はどうしたらいいのかについて説明します。
まず、勤め先の企業で社会保険に加入している場合、個人で社会保険に加入する必要はありません。
また、個人事業主が支払う税金は、所得税・事業税・住民税・消費税です。
しかし消費税は、以下の条件に当てはまる場合にのみ納税が必要になります。
- 事業前々年度の売り上げが1,000万円を超えている。
- 特定期間の支払額が1,000万円を超える。(給与、賞与等)
自分がいくら税金を払う必要があるのか、しっかりとチェックしましょう。
まとめ
今回の記事では、個人事業主について説明してきました。
個人事業主になると節税や収入が増えるメリットがありましたが、自由な時間が減るなどのデメリットも理解しておきましょう。
また、個人事業主登録をする際には、青色申告を選び節税することも忘れずに。
サラリーマンとして個人事業主登録し、副業への一歩を踏み出しましょう。